【猫たちと暮らす】理想の家づくり

猫たちと暮らす。理想の家づくり

忙しい日々の中で、癒しを与えてくれる猫。大切な存在と心地よく暮らすために、「猫のための家」を意識した住まいづくりをしたい人が増えています。

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マンションで暮らしていた頃、リビングの壁にDIYでキャットウォークを設置しました。

早朝、猫たちがキャットウォークを駆け抜けるたびに響く「ドンッ」「ギシッ」という大きな音。ある日、お隣さんから「最近、早朝に大きな音がしませんか?」と、やんわりと尋ねられてしまいました。

その一言で、フローリングにキッチンマットを隙間なく敷き詰めてみましたが、壁を伝って響く音までは防ぎようがありません。

猫たちにはのびのびと過ごしてほしい。でも、ご近所に迷惑はかけられない。

このままではいけないと感じた我が家は、これからの暮らしを考えて、都内へ通勤できるエリアへ移住して家を建てようと決心したのです。

この記事は、体験を交えながら猫がのびのびと暮らせる住まいの工夫をご紹介します。

DIYのキャットウォークでくつろぐ2匹の猫

私たちが目指す「猫のための家づくり」には、大前提があります。それは「人と猫、その両方が快適に暮らせる設計」であることです。

まず、人間の快適さは決して譲れません。たとえば、日々の掃除のしやすさや、家事がスムーズに進む動線は、ストレスのない暮らしに不可欠です。

その一方で、猫にとって家は単なる生活空間ではなく、遊び場であり、安心できる大切なテリトリー。彼らの動きや習性を考慮しなければ、運動不足やストレスにつながってしまいます。

人間の暮らしやすさを守り、猫の習性にも寄り添う。この両方を追求することで、人も猫も心地よい、理想の「猫と暮らす家」が完成すると考えています。

猫が高い場所を好む習性を活かすため、吹き抜けにキャットウォークを設けました。これにより、猫たちは上下運動を楽しみながら、運動不足の解消にもつながります。

さらに、ただ楽しいだけでなく、生涯にわたって安心して使えることも大切です。

将来シニア期を迎えることを見据え、段差を少し低めに調整しました。また、吹き抜けのような高さを利用する仕掛けだからこそ、安全性の確保を最優先に考えます。

万が一、足を滑らせて落下した際も怪我をしないように、ヨガマットを敷きました。

猫が自由に遊べる環境と、安心して暮らせる環境。この二つを両立させることが、家づくりの重要なポイントです。

キャットステップで運動不足を解消

室内飼いの猫にとって悩みの種は「運動不足」です。私たちは、その課題を家づくりの工夫で解決したいと考えました。

その答えの一つが、壁づたいに設置したキャットステップです。

このステップを吹き抜けのキャットウォークと繋げることで、1階と2階を結ぶ猫専用のルートが完成。

猫たちは体をくねらせながら上下に移動しながら、自然と十分な運動量を確保できるのです。

もちろん、ここでもシニア期への配慮は忘れません。段差を低めに設定し、年齢を重ねても無理なく使えるよう考えました。「長く快適に」は、我が家の家づくりの一貫したテーマです。

キャットステップを登る猫

キャットウォークの設計で最も重要なのは「安全性」です。単に板を取り付けるだけではなく、エアコンや照明との位置関係、そして猫の体重に耐えられる強度を確保しなくてはなりません。

特に6キロを超える大柄な猫の場合、板の幅が狭いと危険ですし、強度不足で板がたわむリスクもあります。

私たちは工務店と何度も図面をやり取りし、板の奥行きや補強方法を慎重に検討。試行錯誤の末、当初のシンプルな平板案から、下に補強板を追加する現在の形に落ち着きました。今では猫が駆け上がっても、ぐらつくことはありません。

我が家では板の奥行きを25センチにしましたが、2匹が鉢合わせすることを考えると、あと1〜2センチ広くても良かったかもしれません。これから作られる方の参考になれば嬉しいです。

キャットウォークの隅でお昼寝しているよ

猫が快適に暮らしている家の条件には、いくつか共通点があります。

たとえば「上下運動ができる高さ」「外を眺められる窓」「清潔なトイレ」です。

とくに上下運動は、猫の本能を満たすだけでなく健康維持にも不可欠です。
壁に設置したキャットステップなどに加え、市販のキャットタワーも活用し、猫の運動不足を解消しています。

大きな窓から「ニャルソック」

窓辺に座ってじっと外を見つめる姿は、「ニャルソック」と呼ばれる猫ならではの習性。
室内で安全に外界を確認できることは、猫に安心感と満足感を与えます。

庭に訪れる鳥や虫、風に揺れる木々、刻々と変わる空の色。これらを観察することで、猫は退屈せずに過ごせ、気分転換や心の安定にもつながります。

そんな猫を見守る時間は、人にとっても大きな癒やし。
外の景色を一緒に眺めながら「今日は鳥が多いね」と声をかけたり、猫の耳やしっぽの動きから小さな発見を楽しんだり。窓辺は猫と人が自然に心を通わせる特別な場所になります。

より快適に過ごすためには、窓辺の工夫も大切です。
たとえば、窓際にキャットタワーや棚を配置して安全に登れるようにしたり、窓辺に猫ベッドを置いたりと、お気に入りの“日向ぼっこスポット”にしています。

夏場は強い日差しを和らげるレースカーテンやUVカットフィルムなども活用して目への負担も考えました。

部屋の窓から外を眺める猫

柱に綿ロープを巻いた爪研ぎ

爪研ぎは猫の健康にも安心感にも欠かせない行動です。
猫にとって「爪研ぎ」は爪を削るだけでなく、背中や肩の筋肉を伸ばすストレッチ運動の役割や縄張りを示すマーキングの意味もあり、健康と安心感の両方に欠かせません。

家の柱に直接爪を立てられて困るケースも多いですが、あえて柱に爪研ぎ用のロープを巻く方法があります。一般的に麻ロープはよく使われますが、切れやすくボロボロになりやすいのが難点。

そこで我が家は綿ロープを柱に巻き付けました。綿は丈夫で見た目も清潔に保ちやすく、人のメンテナンス負担も軽減します。

猫と暮らすうえで避けて通れないのが「トイレのにおい問題」です。
どれほど猫が可愛くても、においがこもると生活空間全体の快適さが損なわれてしまいます。
そこで、住まいの設計段階からにおい対策を盛り込み、猫も人も快適に過ごせる工夫を取り入れました。

猫専用換気扇と空気清浄機

猫トイレは人のトイレのそばに設置し、猫専用の換気扇を設けました。
小型でも空気を循環させることで、においがこもりにくくなります。我が家では猫用のゴミ箱の上部に設置し、トイレ掃除の際にスイッチを入れるようにしています。

さらに空気清浄機を併用することで、毛やホコリも吸着でき、部屋全体の空気環境を清潔に保つことが可能です。

設計段階から専用の換気ルートを用意しておくことで、より効率的に機能させられます。

トイレは「頭数+1」で設置

猫はきれい好き。トイレが汚れていると使うのをためらうことがあるため、一般的には「猫の頭数+1」の数を設置するのが望ましいとされます。

我が家には3匹の猫がいるため、3+1で合計4つのトイレを設置しています。場所は1階に3つ、2階に1つ。

フロアごとに分散させることで、猫が移動の途中で我慢する必要がなくなり、粗相のリスクも減ります。また、1つが使用中でも他の猫が待たずに済むため、猫同士のストレス軽減にもつながります。

トイレは人の生活動線に影響を与えにくい位置に設けることも重要です。
視界に入りにくく、それでいて掃除がしやすい配置にすることで、猫も人もストレスなく過ごせるでしょう。

猫と暮らす家づくりは、単なるインテリアや設備の工夫にとどまりません。
そこには「猫が健やかに、のびのびと過ごしてほしい」という思いと、「一緒に過ごす時間をもっと豊かにしたい」という人の願いが込められています。

吹き抜けに設けたキャットウォークやステップは、猫にとって最高の遊び場であり、運動不足解消の場になりました。
窓は「ニャルソック」を可能にし、毎日の暮らしに小さな発見や楽しみを運んでくれます。
さらに、柱に綿ロープを巻いた爪研ぎは、安全性と耐久性を兼ね備えます。

また、猫専用換気扇や空気清浄機、頭数+1のトイレ設置などの工夫は、におい対策と清潔な環境づくりに大きな効果を発揮しています。
こうした小さな工夫の積み重ねにより、猫は安心して自由に暮らせるのです。

得意顔でキャットウォークを歩く猫の姿を見ていると、自然と笑顔になれます。猫の快適さが、人の幸福にも直結することを、この家が教えてくれました。

大掛かりなことでなくても大丈夫。住まいに少しの愛情と工夫を重ねることで、誰もがきっと「猫も人も笑顔になる家」を実現できるはずです。

猫3匹
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この記事を書いた人

金融機関で働きながら、社会人大学生として学び直し中。
フォトやアート、自然とともにある暮らしの魅力、50代からの挑戦を綴ります。

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